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大学病院で勤務する理学療法士です。 食事 運動 健康に関連することを題材に上げていきます

酸塩基平衡の問題をいち早く察知! 〜血液ガスに見方〜 (2)

前回に引き続き、血液データの見方について考えていきましょう。

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STEP5 アニオンギャップ(AG)を計算する。

ここでようやくAGの計算です。 もちろん人によっては、最初にAGを出した方がわかりやすいじゃないか!と思う方もいると思いますが、STEP1~4を先にしておくことで代償作用がしっかりと働いているのかなどがわかりやすいと思うのです。

 

AG== [Na+] -([Cl-]+[HCO3-])

正常値を当てはめると、140-104-24=12となります。

 

AGをしておかないと重大な病変に気づくことができません。

なぜAGを重要視するのか・・?

 

人の体は電気的に中性を保ちます。それは陽イオンの数と陰イオンの数が等しいということです。

つまりAGを算出することで体の中の生体ゴミを見つけることができます。

AGの主な酸は乳酸、リン酸、ケト酸、酢酸といったものが代表ですね。

これが、酸塩基平衡障害のカギとなる代謝性アシドーシスの本体です。

 

AGが増加して生じる代謝性アシドーシス

①腎不全→BUNやCre値の上昇によって鑑別できます

②糖尿病性ケトアシドーシス→糖の利用障害により脂質利用がβ酸化を引き起こします。

③乳酸アシドーシス→嫌気的解糖系により乳酸が過剰生産されます。

 

これらはHCO3-の漏出により起こります。

2大原因としては、

・腸液(アルカリ性)としての漏出 (下痢など)

・尿細管での再吸収障害 (腎疾患など)

 

しかし中には、AGが正常値にも関わらず、代謝性アシドーシスとなる病態もあります。

CL値が高くなるとAGが正常値に見えてしまうのです。つまり高CL血しょうです。

 

 

 

 

STEP6  病態は代謝性か呼吸性か

・代謝性因子のHCO3-は正常値の24mEq/Lから何%逸脱しているか?

・呼吸性因子のPCO2は正常値の40mmHgから何%逸脱しているか?  を計算します。

計算値を比較して、大きい方が酸塩基平衡障害の主病変です。

 

もちろんSTEP3・4を念頭に置きながらです。

 

STEP7  H+ 算出し、pH値に一致するのか確かめよう!

Hendersonの式:H+ =24×PCO2/HCO3-

 

正常値を入れるとH+ 24×40/24=40となります。

ちなみにpH7.40の時にHが40となります。覚えやすいですね!

H+ は酸ですから、増えるとpHは下がります。

pH=7.30のとき H=50

pH=7.40のとき H=40

pH=7.50のとき H=30

となりますので、実際のpHと比較した時に、合致しない場合は、呼吸障害やその他の隠れた病変がある可能性大です。

 

以上が一通りの酸塩基平衡の見方です。

これを瞬時に計算できるように練習してください。

病態がわかると、患者様の状態を把握することができ、急変しても迅速な対応ができます。そればかりか、理解することは、私たちの日々の仕事がさらに楽しくなります。

 

Reference

1)Fagan TJ:Estimation of hydrogen ion concertration. N Engl J Med,288:915,1973

2)今井裕一:”Na-CL”からわかることはなんですか?『輸液ができる好きになる』,羊土社,2010