真咲輝司 Rehabili knock

大学病院で勤務する理学療法士

ランナー必見!! ランニング大好き理学療法士が教える 必ずマラソンが速くなる筋力トレーニング【理論編 】

ランニングエコノミー第二弾

 


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前回の記事でランニングエコノミーという概念について話した。

 

   簡単に要約すると、最大酸素摂取量をいかに効率的に使うことが、マラソンのタイムを上げる重要なカギとなる。

 

ではランニングエコノミーを向上するにはどうするか。

本題に入ってみよう。

 

ランニングエコノミーについて知りたい方はこちらへ

www.rehabiliknock.com

 

 

今回はサンフランシスコ大学のSundbyらの報告をもとにランニング エコノミーについて考えていこう。

 

 

 ランニングエコノミーを上げるにはエキセントリックなトレーニングが重要

 

 ランニング中の筋肉の収縮の仕方は大きく2つに分けることができる。

 

求心性収縮と遠心性収縮だ。

大腿四頭筋を見ながらこの2つの収縮の違いを考えていこう。

 

①求心性収縮とは

ジャンプを行うときに大腿四頭筋の付着部同士のキョリが縮むように収縮する方法のことを求心性収縮という。


サッカーでボールを蹴るときも大腿四頭筋はこの求心性収縮が働いている。

 

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②遠心性収縮とは

一方でジャンプした後に着地するときの大腿四頭筋の付着部同士のキョリが伸びて細くなっていく収縮の仕方を遠心性収縮という。

 

実は遠心性収縮の方が求心性収縮に比べて負担が強く、トレーニングした後に筋肉痛を起こしやすい。

実際にランニングで足を床に接地するときの大腿四頭筋はこの遠心性収縮が働いている。

 

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Sundbyらは、健常成人を対象に膝関節を動かす筋肉の大腿四頭筋とハムストリングス(半腱様筋・半腱膜様筋)の最大筋力を調べた。

 

その結果、ランニングエコノミーの向上には遠心性の筋力が強く関係することを明らかにした。

 

つまり遠心性収縮でのトレーニングを行うと、ランニングエコノミーを向上してマラソンのタイムに直結することが示唆されたのだ。

 

これまではマラソンのタイムを上げるには有酸素運動でのトレーニングが主流だった。

しかしSundbyらによって筋力トレーニングを行うことがマラソンのタイムを上げるという科学的根拠を見出したのだ。

 

遠心性収縮で行うトレーニングのことをエキセントリックトレーニングという。

 

実際のメニューについては、実践編で説明していく。

 

 

さらに、Sundbyらの研究はここで止まらなかった。

 

ハムストリングスの最大筋力を大腿四頭筋の最大筋力で割った比率を算出した結果、

比率が高い人、つまりハムストリングスの筋力が高い人ほどランニングエコノミーが高いことを明らかにしたのだ。

 

しかも、それは筋肉量の厚さが大きいこと以上に重要だった。

 

アイルランドにあるリムリック大学のBeattieらによると、やみくもなフィジカルトレーニングは肥大化効果が生じ、ランニングエコノミーに悪影響を及ぼす可能性があると報告している。

 

つまり筋肉ムキムキの人よりも、筋肉が少なくてもしっかりとバランスよく筋肉を鍛えている人の方がランニングエコノミーが高いと解釈することができる。

 

確かに腑に落ちる所はある。

箱根駅伝に出場している選手や世界のトップランナーを見渡しても筋肉隆々の人はいない。

 

 

ハムストリングスを鍛えると、エネルギー消費が少なくなる

 

ではなぜハムストリングスを鍛えることがランニングエコノミーの向上に繋がるのだろうか。

その答えに、カナダにあるカルガリー大学のFollandが1つの答えを出した。

それは、

「ハムストリングスを鍛えることで膝の固定性が向上し、膝関節が安定する」

 

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走行中は地面を足につけた瞬間(踵接地)に膝関節をガクッと曲げるような外力が働いている。

 

しかし、大腿四頭筋とハムストリングがこのとき同時に収縮し膝関節が曲がらないように固定している。

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このときに、ハムストリングスが弱いと膝関節の固定性が不十分となり安定せずグラグラしてしまう。

 

 関節が安定するとムダなエネルギーを消費しないため、ランニング中のランニングエコノミーが向上するというのがFollandらの立てた仮説だ。

 

まとめ

近年ますますランニングエコノミーに関する研究は進んでいる。特に有酸素運動ではなく、無酸素運動を行うことでランニングエコノミーが向上し、結果的にランニングパフォーマンスが上がることが明らかとなったのだ。

今回紹介させていただいた報告から、エキセントリックにハムストリングスを鍛えることがマラソンのタイムに直結することが明らかとなった。

 しかし、Beattieが言っている通り、筋力トレーニングはやり方を間違えるとランナーにとってマイナスとなってしまう。ランナーの身体は繊細なのだ。単に筋力をつければ良いという問題ではない。

 

次回はエキセントリックにハムストリングスを鍛える実践編について考えていこう。

 

Reference

1 Sundby & Gorelick (2014) Sundby OH, Gorelick MLS. Relationship between functional hamstring:quadriceps ratios and running economy in highly trained and recreational female runners. Journal of Strength and Conditioning Research. 2014;28:2214–2227.

 

2 Folland et al. (2017) Folland JP, Allen SJ, Black MI, Handsaker JC, Forrester SE. Running technique is an important component of running economy and performance. Medicine and Science in Sports and Exercise. 2017;49:1412–1423.

 

3 Beattie et al. (2017) Beattie K, Carson BP, Lyons M, Rossiter A, Kenny IC. The effect of strength training on performance indicators in distance runners. Journal of Strength and Conditioning Research. 2017;31:9–23.

 

 

 

 

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